あ と が き
第26回海外都市行政視察調査の機会をいただき、高齢者福祉施策、産業クラスター、環境保全対策及び観光振興とコンベンションなどの取組みについて、北欧・ヨーロッパに多くのことを学ぶことができました。
北海道市長会主催のこの調査は、前年度が01年9月11日の同時多発テロの影響で中止となったため2年振り行われたものです。調査団出発の直前に訪問市の変更があり事前準備に不十分さを持ちながら新千歳空港で親松赤平市長の団長挨拶と副団長の今井深川市収入役の決意表明により結団式を行い、総勢7名の団員は成田経由で最初にアムステルダム市に入りました。
訪問都市における調査の詳細については、団員の皆様の綿密な調査結果と報告書作成の分担により、個性あるこの報告書にまとめておりますので、ここでは特に印象が強かった事項について記述しました。
訪問国の地方自治制度について、首長は日本の大統領制と異なり公募した中から議会が任命したり議長が首長になるなど議員内閣制をとり、行政の各執行機関は、議員で構成する委員会の下に置かれている場合が多く、政治主導の地方自治制度となっている。
北欧もヨーロッパも石造り文化をいかんなく発揮して、歴史と伝統を生かした素晴らしい景観と街並みを形成し、観光産業にも大きく貢献している。これは、地震の影響が少なく、良質な石材が豊富で、地盤も比較的良いことから、建築物の耐用年数が極めて長いことと、併せて良い物は守っていくという国民的コンセンサスが古くから出来ていることが背景にあると聞き、なるほどと納得したところです。我が日本も世界最古の木造建築で世界遺産の法隆寺をはじめ多くの文化財、遺産、火山や温泉など世界に誇れるものが数多くあり、今まで以上に自信を持って世界に向けて情報発信を続けていくべきと再認識したところです。
スイスの食料問題について、第2次大戦中は自給率100%であったが、コスト高の問題等から現在は60%台まで低下し、食の安全性も含めて課題のようであった。
特に、農薬問題がある国からの野菜などの対策は、速やかに輸入禁止措置を講じているし、我々が食した「りんご」は、訪問国の全てが同様であったが、大きさ、形、表面の斑点などから無農薬に近いものと推察することができた。
訪問国の中で、EUに加盟している国はオランダとフィンランドであったが、特にフィンランドでは農業関連の産業がEU内では脆弱であることから、この分野の産業クラスターに努力を続けていて、まだ大きな成果は出ていないが、長いスパンでベンチャー企業の育成や農業の振興、そして食料の安全性などを目指している様子が窺えた。
終わりに、この報告書にあるように、これからの北海道の各都市が取りうる施策に何らかのヒントになればこれ以上のことはなく、全員無事目的を達成し帰国できたことは、親松団長、今井副団長はじめ団員各位と添乗員の佐野さんのご協力のたまものと感謝申し上げ、編集後記といたします。
平成15年2月
北海道市長会事務局参事 居上 英二 |